今から20年ほど前、週に3往復することもあるほど、香港で活動している頃、九龍城というスラム街に、よく出入りしていました。
そこには、商売人達の会があって、健康太極拳という名目の集まりがあり、えらい老師を呼んでいたので見に行ったことがあります。
私の友人は、そのスラム街でも結構な実力者で、五カ国語以上を話せるインテリで、その内情を教えてくれました。
実は、その老師というのは、楊澄甫の弟子の有名な老師(その時には亡くなっていた)に昔少し套路を習っただけで、たいした経験も腕も無いのだが、その老師の名前があれば、大勢の人が集まってくれるので、商売として成り立っているということでした。
見るからにあまり巧いとはいえないどころか、素人に近いような楊式の太極拳には驚いたことを覚えています。
さらに驚いたのは、そのえらい老師が日本の有名な太極拳の会に、とても優遇され、大勢の人が参加していました。